「ねぇ、公務員だからちょっと教えてほしいんだけど…」
公務員という仕事柄、友人からこう頼まれることが、時々あります。
仕事の話、お金の話、そして特に多いのが、結婚を控えた友人からの「婚姻届」に関する、切実な相談です。
- 記念日に出したいんだけど、もし書き間違えていたらどうしよう?
- 不備があって受理されなかったら、その日が入籍日にならないって本当?
私も、自分の婚姻届を出す前には、知り合いの担当の方に婚姻届を事前に見てもらいました。
自分では完璧に記入したつもりで、何度も見直しました。それでも結果は、たくさんの付箋がついて返却…(笑)。
正直、「え、こんなところも?」と驚くほど、たくさんの修正点があったのです。
でも、そのおかげで提出当日は、まさに狙い通り。
記念日だからこそ役所で余計な時間をかけたくなかったのですが、本当に10分ほどであっさり受理され、その後の食事や予定に、気持ちよく時間を使うことができました。
あまりのスムーズさに拍子抜けしたほどですが、この経験から「事前審査は絶対にやるべきだ」と確信しました。
この記事では、そんな自身の経験と友人たちへのアドバイスから生まれた、記念日を100%気持ちよく、完璧な形でスタートさせるための最強のテクニック、『事前審査』について、その具体的な方法とメリットを、どこよりも分かりやすく徹底解説します。
この記事を読めば、あなたは安心して、自信を持って記念日を迎えられるはずです。
「記念日が台無しに…」を防ぐ!事前審査が絶対おすすめな理由
最近では、書類の不備に対する役所の対応も柔軟になり、軽微なミスであれば、その場で受理(お預かり)してもらえ、「後日、平日に来て修正してくださいね」と案内されるケースも増えています。
つまり、記念日の日付そのものがズレてしまう、という最悪の事態のリスクは減りました。
では、なぜそれでも事前審査を強くオススメするのでしょうか?
それは、単に「受理される」という事実だけでなく、お二人の大切な門出を、一点の曇りもなく完璧なものにするため!
それに、3つの大きなメリットがあるからです。
理由①:「後日の呼び出し」という面倒を回避できる
想像してみてください。
入籍記念のディナーを楽しんだ数日後、仕事中に役所から電話が…
「先日ご提出の婚姻届ですが、修正が必要な箇所がございまして…」。
また平日に時間を作って休みを取り、役所へ出向く…というのは思った以上に面倒ですし、せっかくの幸せな気分に水を差してしまいます。
この「後日の手間」が最初からゼロになるのは、大きなメリットです。
理由②:良い気持ちで記念日をスタートできる
「不備があったけど、まあ受理はされた」という事実は、記念日の思い出に少しだけケチがついてしまうかもしれません。
結婚という大切なスタートラインで、「修正」という宿題が残っている状態は、なんとなくスッキリしないものです。
事前審査は、そんな心のモヤモヤをなくし、心から晴れやかな気持ちで新しい門出を祝うための、いわば「心の保険」なのです。
理由③:万が一の「重大な不備」のリスクをゼロにできる
ほとんどありませんが、例えば
- 証人になってくれた親が、実は戸籍上の筆頭者ではなかった
- 離婚歴のある方の、再婚禁止期間の計算が違っていたなど
受理そのものが危うくなる「重大な不備」の可能性もゼロではありません。
事前審査は、そうした万が一の深刻なリスクも完全に取り除いてくれる、最強の「お守り」になります。
あなたの婚姻届は大丈夫?よくある不備と、その理由
では、具体的にどんなミスが「後日修正」の対象になりやすいのでしょうか。
その理由も合わせて解説します。
- 新しい本籍地が置けない場所だった
これが一番気づきにくい落とし穴です。
私自身も「その地番には本籍を置けません」と指摘され、慌てて別の場所を設定し直した経験があります。
なぜなら、本籍地は「実際に存在する地番」でなければならず、「東京タワー」や「思い出の公園」といった任意の場所には設定できないからです。
憧れの場所を本籍にしたい方は、特に注意が必要です。 - 証人欄の不備 — 押印不要ルールと新たな注意点
2021年9月から押印は原則不要になり、署名だけでOKになりました。
しかし、古い様式の届には押印欄(㊞)が残っており、不安になる方が多いです。
押印以外の注意点として、「証人の本籍地が、番地まで正確に書かれていない」「署名を代筆してしまった」といったケースも。
証人欄は、成人2名が「二人の婚姻の意思を知っている」ことを証明する重要な項目。
だからこそ、正確な情報が必要なのです。 - その他のよくあるミス
- 「本籍」と「住所」の勘違い
本籍は「戸籍が置かれている場所」、住所は「生活の拠点」。
この違いを理解せず、本籍欄に現住所を書いてしまうケース。 - 修正液・修正テープの使用
婚姻届は、長期にわたって保存される公的な文書です。
後から改ざんされるリスクを防ぐため、修正液等の使用は認められていません。
修正は、二重線と訂正印(または署名)で行うのがルールです。 - 添付書類(戸籍謄本)の不足
本籍地ではない役所に提出する場合に必要です。
これは、提出先の役所が、あなたの現在の戸籍情報を確認するために不可欠だからです。
- 「本籍」と「住所」の勘違い
緊張しなくて大丈夫!誰でもできる事前審査の進め方
特別な予約や手続きは一切不要です。
ここでは、私が友人にアドバイスする際の「完璧な進め方」をご紹介します。
STEP1:婚姻届を入手し、まずは書いてみる
役所の窓口のほか、最近では各自治体のウェブサイトからPDFでダウンロードできる場合も多いです。
まずは一度、鉛筆書きでも良いので、わかる範囲で記入してみましょう。
STEP2:「戸籍担当」窓口へ、持ち物をそろえて向かう
平日の開庁時間内、特に比較的空いていることが多い「火曜〜木曜の午後」が狙い目です。その際、以下の持ち物リストを参考にしてください。
- 記入した婚姻届
- 二人の本人確認書類(免許証、マイナンバーカードなど)
- 証人の氏名、住所、本籍、生年月日が分かるメモ
STEP3:「事前チェックをお願いします」と伝える
窓口で緊張する必要はありません。
職員の方にこう伝えましょう。
「記念日に提出したいので、事前に内容をチェックしていただけますか?」
この一言だけで、職員の方は快く対応してくれます。
もし修正点があれば、付箋を貼ったり、鉛筆で印をつけたりしながら、分かりやすく教えてくれます。そのアドバイスを元に、一度持ち帰って婚姻届を完璧な状態に仕上げましょう。
知っておくと差がつく!「事前審査」の豆知識
最後に、さらに一歩踏み込んだ豆知識をご紹介します。
豆知識①:夜間・休日提出こそ、事前審査が必須!
夜間や休日の窓口は、専門の戸籍担当者ではなく、警備員さんや宿直の職員さんが対応する「預かり」サービスです。
その場では一切のチェックを行いません。
つまり、事前審査をしていない届は、不備があるかどうか分からないまま提出することになります。
後日、「不備でした」と連絡が来るリスクをなくすために、夜間・休日提出を考えている方こそ、事前審査は絶対にやっておきましょう。
豆知識②:「本人確認書類」持参で、漢字のチェックも万全に
氏名に使われている漢字は、戸籍に登録されている「正字」で書く必要があります。
例えば「サイトウ」さんの「サイ」が「斉」なのか「斎」なのか「齋」なのか。本人確認書類を持参すれば、職員の方が戸籍データと正確に照合してくれるので、漢字間違いのリスクも防げます。
豆知識③:「オリジナル婚姻届」は提出できる?
最近は、キャラクターものやデザイン性の高い「オリジナル婚姻届」も人気ですが、自治体によっては規定の様式でないと受理されない場合があります。
使いたい場合は、事前審査の際に「この様式で問題ないですか?」と必ず確認しましょう。
【まとめ】たった一手間で、一生の記念日を最高の思い出に
今回は、婚姻届を提出する際の最強のお守り、『事前審査』について、その理由から具体的な方法、豆知識まで詳しく解説しました。
一番大切なポイントは、「受理されるかどうか」だけでなく、「100%気持ちの良いスタートを切れるかどうか」です。
婚姻届は、お二人が家族になるための、最初の共同作業。
この一枚の紙から、新しい人生が始まります。少しの手間をかけることで、当日は余計な心配をせず、心からの笑顔で記念日を迎えられるはずです。
この記事が、これから新しい門出を迎えるすべてのカップルにとって、少しでもお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。
お二人の末永いお幸せを、心から願っております。